皆さん、こんにちは。ジェイさん@発信する遊技機ブランドプロデューサーです。
2026年3月、期待の新台『スマスロ サンダーV』の導入が始まりました。リール制御や予告音など、パチスロの原点的な楽しさを追求した本機に注目している方も多いでしょう。

しかし、5号機や6号機からパチスロを打ち始め、4号機時代を知らないユーザーの中には、ボーナスを揃えた瞬間に妙な違和感を覚える方もいるかもしれません。
それは、メダルが1枚も増えていない(0枚払い出し)状況なのに、なぜかスイカ入賞時と同じ15枚役の払い出し音が響き渡るという点です。
パチスロでは「メダルの払い出し=音が鳴る」のが当たり前で、払い出しがないのに払い出し音が鳴る状況は、不思議に映ってもおかしくありません。この違和感の正体を探ると、現在の遊技機規則と開発陣の執念が見えてきます。
この不思議な挙動を理解するために、まずは私たちが現在打っているパチスロのルール(遊技機規則)を改めて確認してみる必要があります。
遊技機規則には、以下の重要な規定があります。
(ハ)入賞によらずに遊技メダル等を獲得することができるものでないこと
これは当たり前のことを書いているように見えますが、実は非常に重要な要素が含まれています。
それは「入賞」の定義です。パチスロのルールにおいて、遊技機規則上の入賞とはベルやスイカなどの小役揃いを指します。実は、リプレイ(再遊技)やボーナス図柄が揃うことは入賞に含まれない、という解釈基準が存在するのです。
つまり、現行のパチスロにおいて7が揃うことは、ボーナスという役物の作動(開始)であって入賞ではありません。そのため、ボーナス図柄が揃った瞬間にメダルを払い出すことは、現在のルール上では不可能となっています。
現在の一般的なノーマルタイプのフローは以下の通りです。
@ボーナス図柄が揃う(作動)
⇒払い出しは0枚
Aボーナス状態へ移行
Bボーナス中の小役が入賞して初めてメダルが増える
ノーマルタイプを打つ際、ボーナスを揃えた直後にメダルが尽きてしまい、追加投資をした経験がある方もいるでしょう。あれは、ボーナスが払い出しのある入賞ではなく、あくまでボーナス開始の作動であるために起こる現象なのです。

現行のルールではボーナス作動で0枚払い出しは当然の光景ですが、なぜ『スマスロ サンダーV』は、あえて15枚の払い出し音を鳴らしているのでしょうか。
その理由は、1997年に登場した初代『サンダーV』の存在にあります。
実は、4号機時代にはボーナスの作動は入賞ではないという解釈が存在しませんでした。そのため、当時はボーナスが揃うこと自体をも入賞扱いとし、実際に15枚のメダルを受け取ることが可能だったのです。
当時の遊技フローを振り返ると、以下のようになります。
@ボーナス図柄が揃う
A15枚のメダルが払い出される(ここで払い出し音が鳴る)
B払い出しが終わってから、ファンファーレと共にBGMが始まる
この払い出し音からボーナスBGMへとつながる一連の流れこそが、シリーズにおける心地よいボーナス開始のリズムとして、長く愛されてきた伝統の形なのです。
現行のルールで普通に作れば、払い出し音無しで処理するのが最もスムーズです。しかし、それでは伝統あるシリーズとして、往年のファンにとって何かが足りない、リズムが悪いと感じさせてしまう懸念があります。
そこで本機は、規則を守りつつ(=実際にメダルは出さない)、演出によって当時の打感を再現するという手法をとっています。
図柄が揃った瞬間に、あえて15枚払い出し音を発生させる。実はこの払い出し音をしっかり聞かせるために、本機には専用のフリーズ(ウェイト)も盛り込まれています。これにより、打ち手の脳内では4号機時代の15枚を受け取ってからボーナスが始まるという間(ま)とリズムが擬似的に補完されるのです。
これは、単なる懐かしさの演出ではなく、ノーマルタイプにおいて最も重要とされる気持ちよさの設計と言えるでしょう。
今回の仕様から見えてくるのは、パチスロ機における演出と規則の葛藤です。開発者は常に、最新の規則や解釈基準という厳しい枠組みの中で、いかに過去の良さを継承し、ユーザーに違和感のない遊技体験を届けるかを模索しています。
一見すると、なぜメダルも出ないのに音が鳴るのか? と首を傾げたくなるような挙動の裏には、その機種のアイデンティティを守ろうとする意図が込められています。
ちなみに『サンダーV』に限らず、4号機を復刻したノーマルタイプには同様の仕様が多く盛り込まれています。明日からノーマルタイプを打つ際は、ボーナスを揃えた時の音と間に注目してみてください。払い出し音がある機種か、ない機種か。これまであまり意識してこなかったポイントかもしれませんが、そこには開発者の並々ならぬこだわりが詰まっています。
最新台を打つ際、スペックや設定差といった数字だけでなく、こうした挙動の理由を探ってみるのも、パチスロの奥行きを知るための一つの楽しみ方ではないでしょうか。