皆さん、こんにちは。ジェイさん@発信する遊技機ブランドプロデューサーです。
最近、パチンコ・パチスロ界隈のSNSで「遠隔操作」という言葉を目にする機会が増えています。ただ、この遠隔操作というテーマは、なにも今回に限った話ではありません。昔からパチンコ・パチスロを語るうえで、たびたび話題に上がってきたテーマです。
今回の記事では、感情論ではなく開発者視点で「遠隔操作」という言葉の中身を整理しながら、ホールコンピューター(ホールコン)・メイン基板・遊技機規則の観点から、この問題を考えてみたいと思います。
まず大前提として、過去に不正改造による摘発事例があったことは否定できません。
不正ロム・不正基板・外部装置などを使って遊技の結果に影響を与える。こうした違法な不正改造は、過去に実際に存在した問題です。ここを無視して「そんなものはありえない」と片づけても、読者の納得感にはつながらないと思います。
一方で、SNSなどでよく語られる「ホールコンで当たりを操作している」という話は、これとは別の話です。ホールコンが遊技機のデータを集計していることと、ホールコンが当たり・はずれを命令していることは、分けて考える必要があります。
また、打ち手の体感から生まれる疑念もあります。
●自分は大きくハマっているのに、隣に座った人の台がすぐ当たる
●朝から出ていた台が、自分が座った途端、急に止まったように見える
こうした経験は、確率の偏りがある遊技ではどうしても起こります。そして、その体感に「遠隔操作」という言葉を当てはめたくなる気持ちも分かります。
つまり、同じ「遠隔操作」という言葉でも、
●過去に実在した不正改造の話なのか
●ホールコンで遊技結果を操作しているという話なのか
●打ち手の体感からくる疑念なのか
●冗談やオカルトとして語られている話なのか
ここを分けないまま話を進めると、議論がかみ合わなくなります。
今回の記事でまず解説したいのは、現在ホールに設置されている正規遊技機が、通常営業の中でホールコンから自由に当たり・はずれを操作できるのか、という部分です。そのためにはまず、ホールコンが何をしている装置なのか。そして、当たり・はずれを変えるには、遊技機のどこに介入する必要があるのかを見ていく必要があります。
では、まずホールコンピューター(ホールコン)とは何をしている装置なのでしょうか。
ホールコンは、基本的には遊技機から出てくるデータを集計・管理するためのシステムです。たとえば、アウト・差枚・売上・ボーナス回数・AT回数・スタート回数・エラー情報など、ホール営業に必要なさまざまな情報を確認するために使われます。
ホール側からすれば、どの機種がどれくらい動いているのか。どの台がどれくらい差枚を出しているのか。エラーやトラブルが発生していないか。こうした情報を把握することは、日々の営業管理に欠かせません。
ただし、ここで大事なのは、データを受け取ることと、遊技結果を命令することはまったく別だという点です。
●何ゲーム回ったか
●何枚吸い込んだか
●何回ボーナスがついたか
これらを確認することと、
●特定のゲームで当てろ
●この台をハマらせろ
●特定の島だけ出せ
といった命令を遊技機に送ることは、まったく別の話です。
ホールコンが遊技機のデータを見ているからといって、ホールコンが当たり・はずれを操作していることにはなりません。もちろん、ホールコンのデータをもとに、ホールが設定配分や機種構成、営業方針を考えることはあります。これは営業管理の話で、遊技機に対して外部から「当たり・はずれ」と命令する話とは別です。遠隔操作を考えるうえでは、この違いをまず押さえておく必要があります。

では、仮に外部から当たり・はずれを変えるとしたら、遊技機のどこに介入する必要があるのでしょうか。
●どの役が成立するか
●出玉に関わる内部状態の管理
●ボーナスやATに当せんする
こうした部分は、遊技の結果そのものに影響するメイン基板の話です。規則上は「主基板」と呼ばれています。つまり、当たり・はずれを変えるということは、遊技の結果に影響を及ぼす部分に介入する、言い換えればメイン基板の領域に介入するということです。
この前提で考えると、ホールコンから当たりを操作するという話を成り立たせるには、外部装置から遊技機側へ命令が入り、その命令をメイン基板が受け取り、内部抽せんや遊技結果に反映する必要があります。
しかし、正規の遊技機として型式試験を通すには、外部装置から「このゲームを当てろ」「このゲームを外せ」といった信号をメイン基板が受け取り、それを遊技結果に反映するような構造は認められません。
もし、そのような機種が持ち込まれれば、それは遊技機として不適合となります。
ここで重要になるのが、遊技機の中でメイン基板がどのように管理されているのかです。
メイン基板は、遊技の結果に影響する中枢です。そのため、遊技機の中で単に見えないように収められている部品ではありません。むしろ、見えることが求められている部品です。
遊技機規則では、主基板は透明なケースに密封され、開封すればそのこん跡が残るものでなければならないとされています。また、主基板は電子部品が装着された面を容易に見通せるように配置され、主基板ケースは開封することなく両面を見通せるものであることも求められています。
噛み砕くと、メイン基板は…
●透明なケースに入っている
●開ければ開けたことが分かる
●ケースを開けなくても基板の表も裏も見通せる
という構造でなければならないということです。
つまり、過去に問題となった不正ロムや不正基板のような不正改造に対して、現在の遊技機は「見えないところで簡単に手を加えられない」「手を加えれば痕跡が残る」「外から確認しやすい」という方向で対策が積み重ねられてきたということです。
さらに現在は、スマート遊技機化によっても不正を見つけやすく、隠しにくくする方向に進んでいます。
スマスロは、単にメダルレスで遊べる、遊技性の幅を広げるというだけの仕組みではありません。全国のホールに設置されているスマート遊技機について、機種を特定できる情報や出玉情報、不正やエラーに関する情報などを即座に把握しやすくする仕組みでもあります。

図のように、スマート遊技機の出玉情報などは、ホール内で集計されたうえで外部センターへ送信・集約されます。重要なのは、これは情報を送信・集約するための仕組みであって、外部から個別の台の遊技結果を操作する仕組みではないという点です。
「遠隔操作」という言葉は、非常に感情的になりやすいテーマです。
過去に不正改造が存在した以上、打ち手が疑念を持つこと自体は不自然ではありません。また、確率の偏りが強い遊技だからこそ、負けたときに何か理由を探したくなる気持ちもよく分かります。
ただ、過去に不正改造があったからこそ、現在の遊技機はその対策を積み重ねてきました。つまり、業界は不正をそのままにしてきたのではなく、不正を発見しやすく、隠しにくくする方向に制度と技術を積み上げてきたということです。
だからこそ、「遠隔操作」という言葉に振り回されるのではなく、その中身を冷静に分けて考えることが大切です。そして、見えているデータやホールの扱い、機種ごとの荒さ、現行の制度や仕組みにも目を向けていく。その方が、パチンコ・パチスロとより冷静に、そして前向きに向き合えるのではないでしょうか。