先月は木村義雄氏が参議院議員に繰り上げ当選するというニュースについて主に触れた。衆議院総選挙において兵庫8区から青山繁晴参議院議員が出馬するということで自動失職したことに伴う繰り上げ当選である。先月のコラムを書いたときは「繰り上げ当選の見込み」という段階であった。その後2月2日に官報で告示され繰り上げ当選し、同日、自民党会派「自民党・無所属の会」に木村議員が入会したことが参議院によって公表されている。
というか、総選挙の結果がエゲツナイの一言。自民党単独で3分の2を占め、維新と合わせた与党は4分の3を占めることとなった。選挙戦を自民党公認で戦った候補者の当選者は316人。これは1955年の自民党結党以来最多の議席数であり最大議席占有率だ。というか、自民党以外も含めても日本国憲法下で最多議席数であり単独で3分の2を超えたことも初めてのこと。しかも比例名簿が足りず14議席を他党に譲り渡すこととなっており、本当は330議席だというのだからエゲツナイ。故中曽根康弘、小泉純一郎氏、故安倍晋三らの歴史的な総選挙大勝利群を遥か凌駕する歴史上の快挙である。
ここで古い話を。ぱちんこ業界は2017年の規則改正(施行は2018年)の直前のタイミングで風営法議連(当時)との関係を構築した。警察庁が業界6団体に配布した規則改正案の内容が、特にパチスロについて無茶苦茶だったことが関係構築のきっかけである。
風営法議連は自民党の有志国会議員らで構成された議連だが、はじめはぱちんこに対して年間2,000億円の恒久課税を目指す方針であり、その見返りに何かしら、というものだった。そこに交換税(余暇進案)や合法三店方式(PCSA案)の提案があったが、警察庁は難色を示したし、当時のホール5団体側もまとまれなかった。しかもカジノ法制化を目指す超党派のIR議連が「カジノ法制化の議論に併行してぱちんこ換金合法化の議論をされたらできるものもできなくなる」という懸念を示し横槍を入れたことから、何の成果もないままに風営法議連は活動を休止した。その寝ていた風営法議連を、今度は「ぱちんこ業界振興のための議連」に生まれ変わらせて活動再開させたわけである。
風営法議連は2022年8月の議連総会で「遊技産業議員連盟」と名称を変更した。名称変更の理由はすなわち「ぱちんこ業界のことしかやらない」という議連の意思表示である。この遊技産業議連が今の6号機市場を初期の低迷から救ったことはこれまでも繰り返し述べてきたことだ。
その遊技産業議連。実は石破政権のときに議連所属の国会議員の数がかなり減っていった。2024年の衆議院総選挙、2025年の参議院選挙でいずれも自民党は歴史的大惨敗を喫しており、議連所属の有力な議員の何人もがただの民間人になってしまっていた。
その意味では、先の総選挙における自民党の異常な大勝利は、議連所属議員の数を大幅増とさせることに直結することになる。
2月25日付AERAは、2月19日に麻生派(志公会)の定例会に60人の国会議員が参加したことを報じた。見出しは「ずらり60人!自民・麻生派が激増」であり、自民党に唯一残る派閥が大きくなったことを報じているわけだ。
遊技産業議連は派閥ではないが、目的は明確な議連であり、活動も活発である。一昨年、昨年の石破政権下での選挙で減り続けた議連所属の国会議員の数は現在急増中であり、近い将来その数は100人を超える見込みだ。麻生派よりも一回りくらい人数が多いのがずっと続いている遊技産業議連の特徴である。
ところで、ぱちんこ業界的には、今、政治力を伴って市場の回復を、ということにはなっていない。2022年当時は警察庁の間違った依存防止対策による無茶苦茶な規則改正内容が原因でパチスロ20円島市場が低迷していたことから、議連の助力にもよって、規則の解釈等の緩和を繰り返してパチスロ20円島の市場回復・成長への反転を成功させた。ところが現状、苦境なのはぱちんこ4円島であるが、4円島の苦境の原因が規則等にないことから、政治力で市場回復を、というのがなかなか難しいのである。要はぱちんこ業界は4円島については、業界の内部要因でコケ続けているだけ、というのが実態だ。
このため、自民党の異常な大勝利によって議連議員の数が100人を超えようとも、大きな変化があるということにはならない可能性が高い。しかしそうはいっても6号機初期の低迷の原因が警察庁による間違った依存防止対策であったことは事実だ。政府は再来年の3月にギャンブル等依存症対策推進基本計画を修正して政府の方針として閣議決定する(ギャンブル等依存症対策基本法の規定に基づく正式なもの)。2017年に無茶苦茶だった前科がある政府の方針が、2028年には無茶苦茶ではないという保証はどこにもない。先月も触れたが木村議員は厚労行政に強い専門家でもある。政府の依存防止対策が狂わないように監視する役割を期待するというのはそういうことである。
なお、警察庁の業界担当官(保安課長など)は、これだけ自民党が衆議院を席巻し、遊技産業議連の議員も激増すると、正直仕事がやりづらいと思う。官僚の仕事とはそういうものかもしれないが、それにしても、だろう。
ぱちんこ業界は保安課長や保安課長補佐を、他所の省庁においては大臣や事務次官、長官クラスと言っても過言ではないほどに気を遣う態度をとり続けてきた。とはいえ今の課長や課長補佐に、何かしらエラソーな態度というものは私が見る限り感じないが、議連の会合にでも呼ばれれば大人数の国会議員と業界関係者の有言・無言の圧を間違いなく感じるはずだ。昨年12月にも議連があったが、既に、やはりやりづらかったことだろう。
今後、政治力がぱちんこ業界にとってどのような役割を果たすかはまだわからないのだが、少なくとも政府が2017年のときのような間違いを犯さない程度には重しになることは間違いない。他にもやってほしいことはたくさんあるとはいえ、それだけでも遊技産業議連の役割は大きいと評価できるだろう。
しかし自民党は異常に勝ち過ぎた。今回はオールドメディアはもちろんネットメディアも含めて、ここまでの数字を予測できたところはない。そのことは、メディアを名乗る者たちに社会を把握する能力が足りないことを示す。ならばニュースは今後も注目するが、左右問わずメディアの「主張」はこの先ずっと無視していいだろうと思うに充分な自民党の大勝利であった。